MINOTAUR INST. 20AW Collaboration

September, 2020

アーバンウェアをコンセプトに様々な「機能(Function)」を持つウェアを展開してきたMINOTAUR INST.とTHINK AND SENSEのコラボレーション企画 都市とテクノロジーカルチャーをテーマにクリエーションを行う試みの、2020AWのコレクションです。 コレクションプロダクトであるTOKYO SATELLITE-Tと20AW Collection movieをジェネレーティブな手法を用いて制作しました。

TOKYO SATELLITE-T【FUNCTIONAL SUSTAINABILITY POLY PRODUCT】

JAXA所有の人工衛星だいちの衛星軌道上から観測した東京のグラフィックが施された、ショートスリーブTシャツ。
通常グレースケールで表現される宇宙からのパースペクティブとしての衛星画像を、実際のセンサーが観測している可視光のカラーへ置き換えることで、人工衛星にとっての「認知」という、もう一つの観測結果を表現するアーバンカルチャーウェア。
また、ペットボトル原料を使用した吸水速乾 / ストレッチ機能のサスティナブル素材を使用
通常のポリエステルとは異なり、ペットボトルを資源とすることで、持続的に再生可能な糸として開発されています。

 

 

Workflow and Technical details

人工衛星だいちのAVNIR-2マルチスペクトル(多波長)センサーでは4つの周波数バンドの画像を撮影することができ、通常、これらの各周波数バンド画像を合成することで、農作物や森林の活性度、土地の利用状況、地域環境の変化などを把握することができます。
観測している波長帯は可視光から近赤外線まででの4つの領域です
(Band 1: 0.42 ~ 0.50 μm、Band 2: 0.52 ~ 0.60 μm、Band 3: 0.61 ~ 0.69 μm、Band 4: 0.76 ~ 0.89 μm)

 

2020AW では、通常グレースケールで表現される、宇宙からのパースペクティブとしての衛星画像を実際のセンサーが観測している可視光のカラーへ置き換えることで人工衛星に取ってはそのように「認知」されているかもしれないという、もう一つの観測結果を表現します。

 

 

また、解析の機能のとして、ピクセルソートのアルゴリズムにより画像内の任意の縦横の行列に対して、1ピクセルづつ走査し、画像内の輝度がより高い場所が強調されます。高度な衛星画像解析とは異なり、この色分布からは、特定の地理的情報を得ることはできませんが、衛星軌道上から観測したパースペクティブの中から得られる、都市の「認知」(Perception)の一つです。

 

20AW collection movie

BackGround

近年、AI技術の発展によりニューラルネットワークシステムを活用した、GAN(敵対的生成ネットワーク)に代表されるようなヴィジュアル表現が出現しました。
学習データを元に滑らかに生成される続けるヴィジュアル表現は、これまでのジェネレーティブなグラフィック表現にはない魅力を持ちます。
しかし、AI技術により生成させる架空の現実を表現するグラフィックは共通してどこか不気味さを感じさせるような、印象があることも事実です。

Art Direction

GANを用いた滑らかに生成される続けるヴィジュアル表現のような次世代のジェネレーティブグラフィックを想起させるような印象と、不気味の谷を超えたグラフィックとしての
強度を兼ねそろえたコレクションムービーを目標にしました。
TOKYO SATELLITE-Tのデザインに用いた、Pixel Sortのシステムをベースに、コレクションムービー用のシステム構築を行いました。

 

Workflow and Technical details

pixel sort

本作品ではリアルタイムに映像を生成しています。そのため、CPUベースのプログラム言語ではなく、GLSLというshader言語を用いてpixel sortを行うシステムを構築しました。

また、仮想世界と現実世界横断、不気味の谷を超える強度を目指し、複数のフレームの画像をキャッシュし、それを入力画像とするGLSLをベースとした、画像処理システムを構築しました。

 

 

3D pixel sort system

マッシブな知覚としての人工衛星をテーマにした、TOKYO SATELLITE-Tのコンセプトとの親和性を持たせるため、通常平面的であるPixel Sortを立体化し、空間に広げる表現に拡張しました。

この光の質感を調節するために、同一カメラから別々にレンダリングしてそれぞれにpost processingを行ってからコンポジットしました。

 

Credit

Concept / Generative visual design/T-shirts: Shuhei Matsuyama

Generative visual design/Movie: Yuki Hikita

Generative visual system design: Takamitsu Masumi