鳥取プロジェクション -時を超えた水光の橋-
February, 2025
Purpose
”形なき文化財を可視化し、未来へとつなぐアート” 鳥取県に残る国指定史跡「大御堂廃寺跡」。かつてこの地にそびえていた壮麗な伽藍は、今では目に見える形としては残されていません。しかし、それは「存在しない」のではなく、長い歴史の中で培われた祈りや想いは、形を超えて人々の心に息づいています。 本映像制作では、3Dデータ復元を通じて「形なき文化財」を可視化し、廃寺跡が持つ歴史的な価値を再認識することを目指しました。ただ過去の姿を再現するのではなく、過去・現在・未来の交差点に光を当て、新たな視点から歴史を捉え直す 試みでもあります。
Concept
”時を超えた水光の橋” 時間の流れを表す「水」、人々の祈りを表す「光」、そして過去・現在・未来をつなぐ「橋」。それらが時空を超えた光の道として現れ、開館を目前に控えた「鳥取県立美術館」と人々の未来へと繋がる特別な映像体験をテーマに制作いたしました。



Visual Design
過去から現在、そして未来につながっていくような形で構成されています。 過去は水墨画のような古を思わせるようなヴィジュアル表現、現在、未来はNiagara Particlesを使用してPoint Cloudのような儚い、既に現存していないということを思わせるようなヴィジュアル表現を目指しました。



Workflow and Technical details
Bird Animation
今作の映像を制作する上での主人公として鳥取県の県鳥であるオシドリを採用。 オシドリの実際の写真や映像資料を元にオシドリの羽ばたきと滑空のアニメーションを作成しました。

Visuals of the past
PostProcess Material
Unreal Engineを使用し過去のヴィジュアルを作成しています。 主にPostProcess Materialを利用して全体に対してではなく大御堂の3Dモデルにのみ水彩画表現が乗るように対象を絞った運用をしています。


Visuals of the present and future
Photogrammetry
フォトグラメトリーとは、さまざまな角度から被写体を撮影し、そのデジタル画像を分析、および統合して立体的な3DCGモデルを作成する方法です。3Dモデルを作成しそれをさらにフォトグラメトリーとして再生成しなおすことで頂点数を増やしNiagaraでのParticles生成に利用しやすいよう整えました。

Niagara Particle System
生成したフォトグラメトリーデータをUnrealEngineに取り込みNiagaraParticleSystemを使用し、メッシュのポリゴン数に応じて色情報と位置情報を取得しました。 また写真や記録映像なども同様に取り込みこちらは画像自体の色情報から点の集合を生成し表現することで記憶という抽象的なものを具体的に落とし込む手法として利用しています。

Sound Design

全体的に効果音による変化を強調するのではなく、シーンごとに切り替わる音楽(BGM)によって緩急をつける構成を採用しました。 特に「過去」と「現在」といった時間の移り変わりを意識させるため、音の質感やBPM、ビートの有無を巧みに織り交ぜ、聴覚的にも飽きのこない流れを作りました。さらに、全体を通しての音圧のバランスを整え、ダイナミクスを意識しながらも、各シーンが自然に繋がるようミックスを施しています。 実際には誰も見たことも、感じたこともない世界を、音でどう表現すれば共有できるのか。 その問いを常に抱えながら、サウンドメイキングに取り組みました。
Credit
Concept Design:Kaya Yamaki Concept Design:Suihou Matsumoto Video Direction,Visual Creation,Movie Edit:Suihou Matsumoto Movie Edit:Takaya Nakamura Movie Edit:Riku Saitou Movie Edit:Kyo Imai Technical Direction:Yasushi Harada CG Direction:Takahiko Inatomi CG Design:Ryouga Yamazaki CG Design:Kento Takizaki Sound Design,Mix:Gaku Okada Sound Design:Takayuki Inaba Cinematographer:Yuki Kota Cinematographer:Keigo Fukada Logo Design:Keisuke Miyajima Logo Design:Shuji Seki Producer:Kaya Yamaki Executive producer:Shigeki Inaba